【連載】池悦子先生からのメッセージ　人生を輝かせるヒント〈今月のテーマ：人生を豊かにするために〉

池悦子プロフィール

1970年から86年まで、宝飾品から家具・インテリア雑貨・紳士＆婦人ファッションまでの、海外のラグジュアリーブランドを集積した高級専門店の営業企画室に勤務。1986年に部下と共に、株式会社アイアンドエムを設立。ハイグレードなライフスタイルを提唱し、執筆・講演・イベント企画・マーケティングなどの業務を遂行。2012年、大東文化大学書道研究所 書道教授者資格認定試験合格。漢字・仮名ともに『名誉成家』（最高位）取得。2014年から書道サロン『書便り俱楽部』主宰。本媒体のロゴも手がける。

今月のテーマ「興味を持ち、自分から動く——人生がつまらないと嘆くあなたに」

馬には乗ってみよ人には添うてみよ

私は、とにかく楽しむことに貪欲なうえに人が大好き。人とお話をし、刺激を受けることで自分を活性化しているところがあると思っています。もし、私が人生を楽しんでいるように見えるのならば、そうした考え方が非常に関係していると思います。

その一方で、あまり周囲に翻弄されないようにもしています。そうした心構えを持つようになったのは、この連載の第1回目でも触れた、私がかつて勤務していた西武ピサ＊のオーナーのお母様からの言葉によるものです。『馬には乗ってみよ人には添うてみよ』——人柄のよしあしは付き合ってみないとわからない、自分で直接経験してみなさいという意味ですが、以来、何事においても、直接お目にかかりお話をして、私自身で判断するようにしています。

とはいえ、自分が共感できる方とばかりお付き合いしているわけではなく、自分とは違う考え方を持っている方に会うこともあります。自分自身への刺激にもなりますしね。

＊世界の逸品を取り扱うラグジュアリーブランド専門店

自分から発信し“幸せを共有”する

元来、好奇心が強い性格で、幼少の頃は私の「なんで？どうして？」に家族はとても手を焼いたそうです（笑）。それは今でも変わらず、新しい情報にたくさん触れますし便利なツールにもどんどんチャレンジします。この2年間、コロナ禍で外に出ることが難しくなってしまった時は、海外に住む友人とはLINEを通じてビデオ通話をし、ソーシャルメディアなどを通じてオンラインでのコンサートや映画、パリなど海外へのバーチャル旅行も楽しみました。リアルに出かけられなくなったのは残念ですが、せっかく時間ができたのだからどうにかして楽しもうという気持ちの方が強かったのだと思います。

また、こうした楽しみを自分だけに留めておくのではなく、皆さまに発信し、共有することも大好き。皆さまが笑顔になっていく姿を見ることで私自身が幸せを感じられる、この循環がまた自分の人生を豊かにしてくれるのだと思っています。

何かに縛られていたからこそわかる自由のすばらしさ

今は、自分が楽しむことを考えて生きていますが、会社員時代は、もちろんそうはいきません。仕事における自分の役割には使命感に近いものを抱えて生きておりましたし、それを全うすることに心を砕いておりました。誰にも、人生においてそうした生き方をしなければいけない時期はあると思いますし、仕事ではなく例えば子育てにおいても同じです。

子育てについては、非常に印象深いエピソードがあります。ファッション評論家として活躍された大内順子さんと晩年に、ランチをご一緒しゆっくりお話しを伺う機会があったのですが、それまでの人生で一番面白いと思った仕事は「子育て」と断言されました。子どもを育てることは、とてもクリエイティブなことだと。その時、自分自身が子育ての経験をできなかったことを悔しく感じるほど、衝撃を受けたことを覚えています。

実は私は、ピアニスト、日本舞踊家、フレンチシェフ……さまざまな分野の“成長株”を見つけ、未知の才能ある方の背中を押すということがとても好きなのです。その背景にはきっとそうした誰かの成長を見守る、サポートすることの楽しさを暗に求めているからかもしれません。

いずれにしても、何かに縛られていたからこそ、自由や自分自身の考えで何かをするということのうれしさや幸せを痛感いたします。それが今、私をより生き生きさせているのだと思います。

今月の書『周りと自分を比べないこと　自分の高い志と夢を信じて　一人で進みましょう』（『寂聴辻説法』より）

自分の人生を豊かにするのは自分自身

今回の書で取り上げた言葉は、瀬戸内寂聴さんの『寂聴辻説法』という本の中にある一節ですが、私の考え方と同様です。結局は自分自身がどうありたいか。他人の評価や誰かの決断に委ねるのではなく自分の意思を持って生きること。それが人生を楽しむ秘訣だと思います。

そのためには、前回も申し上げましたが、やはり自分は何を好きで何をすれば心地いいのかをきちんと認識すること。流されずに立ち止まってしっかり考えることです。何をしたらいいのかわからないのであれば、まず自分自身に向き合うことから始めるといいと思います。

また、まだ取り組むべきものの渦中にいるのであれば、“逃げ場”をたくさん持つことをおすすめします。会社員時代、「池さんは、ご主人さまと一緒にいるときはとてもかわいくなるのよね」と言われたことがあります。逆にいえば家では会社の顔はできません。本来の自分をどこで出すのか、真の自分を出せる場所を作っておくことはとても大切です。私が“趣味を持ちなさい”というのは、人生が豊かになるという側面もありますが、いざという時には趣味に“逃げる”こともできますから……。そうしてメリハリをつけていくことで、自分自身の人生を生きることができるのではないでしょうか？

色紙プレゼント

池先生が書いた色紙を1名様にプレゼントいたします。

応募期間

2022年7月7日（木）18：00 〜 2022年8月7日（日）17：59

応募規約にご同意いただいたうえで、応募フォームから必要事項ならびに本企画へのご感想やご意見を記入してご応募ください。

＊応募いただいた時点で応募規約に同意したものとみなします。
＊ご当選者の方は次回の記事内にて発表いたします。（お名前またはニックネームのみを掲載いたします）

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構成・取材・文／藤村仁美（vivace）

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