池悦子先生のココロに効くネット書道教室【第2回】
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書道サロン主宰の池悦子先生による連載『ココロに効くネット書道教室』。第2回目は、趣向を変え、池先生が日頃愛用している道具をご紹介します。日本文化に根づく『見立て』についての考え方も教えていただきます。
池 悦子
1970年から86年まで、宝飾品から家具・インテリア雑貨・紳士&婦人ファッションまでの、海外のラグジュアリーブランドを集積した高級専門店の営業企画室に勤務。1986年に部下と共に、株式会社アイアンドエムを設立。ハイグレードなライフスタイルを提唱し、執筆・講演・イベント企画・マーケティングなどの業務を遂行。2012年、大東文化大学書道研究所 書道教授者資格認定試験合格。漢字・仮名ともに『名誉成家』(最高位)取得。2014年から書道サロン『書便り俱楽部』主宰。本媒体のロゴも手がける。
今回のテーマ『書の道具』
見立ての美
書道に限らず、日本文化における考え方の一つに『見立て』があります。例えばこの『つば』。夫が居合道で使用した形見の刀のつばですが、私はこれを文鎮として使っています。また、トンボをあしらった墨置きは、実は、ジュエリーデザイナーが手がけた銀製の箸置きなんです。この見立てというのは、日本文化の美意識そのものだと思います。
飾り墨
私は『飾り墨』といっていますが『装飾墨』という方もいます。正式な名称はないようです。この手のお墨は、贈答用に作られており、龍が描かれたお墨も教授試験合格のお祝いに、知人から頂戴いたしました。この飾り墨を、私はお祝い事の際、例えば命名書をはじめ七五三、ご結婚の祝い、古希など祝い歳の慶事に使います。
好きなモチーフを集める喜び
私はお道具に凝ってしまうのですが、筆置き、筆洗、朱肉、先ほどの飾り墨は龍のモチーフ。これは私が辰年だから。龍を集めているんです。龍の文鎮も欲しいのですが、辰年にしか出ないため、今、探しているところです。
美しい道具たち
今までお話したもの以外にも、硯や水差しなど、造形美、機能美に優れたお道具がたくさんあります。
普段、教室ではお道具の話をしたり、お見せすることはありませんが、この機会にとご覧いただきました。冒頭にもお話しましたが、『見立て』の考え方は書道も同様で、この道具がないからできないのではなく、筆と墨汁とお皿と紙を押さえるモノ、そして半紙があればできてしまうもの。皆さまにも、ぜひお試しいただきたいと思います。
次回は8月。再び書道動画を掲載します。お楽しみに。
構成・取材・文/藤村仁美(vivace)
〈前回の記事はこちら〉
池悦子先生のココロに効くネット書道教室【第1回】