【連載コラム】フィッシュバーン流“養生生活”のすすめ〈養生茶屋日記vol.14 2023年 卯月〉『学び』は人生における最高の栄養
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不思議と何か新しいことを始めようという気持ちになる春。習い事や趣味を広げることももちろん楽しいですが、せっかくなら『学び直し』を考えてみては。今回の養生日記は、フィッシュバーン真也子さんご自身がこの2年をかけて経験した『中年の学び』の話。いわく「人生最高の栄養」という学びの面白さをご紹介します。
こんにちは、フィッシュバーンです。あちこちで桜が見られる季節、お散歩が楽しいですね。
そして、この春、2021年に3年編入した大学の卒業式を迎えることができました。お恥ずかしながら、数十年ぶりの袴姿。中年なりにちょっとシックに……。
そして、バブル期に短大を卒業した時の22歳の袴姿。下段右から2番目の矢絣の着物が私。すごいビフォーアフターです(笑)。
当時は、矢絣の着物が流行ってたんですよね~。この写真、友人たちの顔を消そうかと思ったのですが、現在もはや面影がない方がほとんど(笑)なので、あえてそのままいきます。
いつもは養生に関するあれこれをご紹介していますが、今回は養生を超え、自分に活力を与えてくれる『学び』について書いてみようと思います。
記憶力低下という現実的な問題
50代に入ってから、大学編入を考え始めました。きっかけは息子が就職したこと。そして、これからは自分にフォーカスして生きようと決意。ただ「50代で大学の勉強をこなせるのか?」「記憶力大丈夫?」など、さまざまな不安がありました。
そんな不安を抱えながら、建築や住居学を学べる通信制の大学3年に編入。早速送られてきた教科書の山を見て「やばい……これ無理じゃない?」と愕然(汗)。中身を読んでも全く理解できないものも多数あり、不安マックス状態。
とりあえず、中身を読んでわかりやすそうなものから手をつけていきました。教科書や参考図書を読み、お題に対してレポートを書く。レポート合格後、試験を受ける。これをすべての教科、ただひたすら繰り返す。
初めの1年はあまり遠くを見ず、目の前にある教科のことだけを考え、とにかくこなし、自分の足元のみを見る作戦。
ただ、レポートはクリアするものの、正直、試験の暗記はつらかった……。何度読んでも覚えられないんですよね。読んでも3分で忘れる(涙)。
声に出して読んでみたり、紙に書いてみたり、自分の声を録音して寝ている時に流してみたり……。あ、記憶力低下防止に役立つサントリーの『オメガエイド』も飲みました。これ、認知症予防の結構高いといわれているサプリなんです(笑)。
いろいろやったんですけど、やっぱりすぐ忘れちゃう。長期記憶ができない。大学2年間は、この問題との戦いでした。
『中年の学び』は時間をかけること
よく皆さんから「その年でよく暗記できるね」とか「覚えられるのがすごい」とか、いろいろ言われましたが、私、ちっともすごくありません。ただ、記憶の悪さに関して、ある時、悟りをひらきまして……(笑)。
入学から半年ほど、記憶問題でジタバタしていましたが、そのうち「数回読んでも覚えられなければ、数十回、数百回読めばいいんだ」という開き直りの境地に達しました。
そして、数百回読むためにしたことが、試験のまとめをカード状態にし、キッチン、トイレ、お風呂、ベッドまわりなど家中のあちこちにカードを貼り付け、四六時中カードが目に入るようにしました。家中、お札が貼ってあるみたいな感じですね。手や腕など、からだに書いてみたこともあります。もはや『耳なし芳一』(←古っ)。
また、暗記系ではない教科の場合は、同じ問題を何度もノートに書いて繰り返したり……。
建築の教科は構造力学といった計算が必要なものもあり、もはや理解というより計算の仕方をひたすら覚えるといった感。
とにかく、中年になってからの勉強は、時間をかけて何度も繰り返すことしか道はないです。でも、逆にいえば、時間をかければ若者と同じことは学べるのですね。大事なことは、常に前向きに、目標を達成するために独自のやり方を編み出すこと。頑張る人に明けない夜はない、と私は信じています。
『学び』の先にあったもの…
昨年の夏頃、卒業がみえ始め、ふと卒業という目標を達成したら私はどうするのだろう?と考え始めました。いろいろ考えた末「もう少し学んでみよう」という結論に達し、大学院進学を決意。仕事との両立を考え、またも通信制を選択。先日、無事入学が許可され、ほっとしています。
大学院名、専攻科目などは、次回のお楽しみ……。
私の場合、学びの先にあったものはさらなる『学び』、次は大学院で『研究』という名目で学びを深めることになりました。
同級生たち(皆さん中年)は、二級建築士を目指す方や教職につく方、現在のお仕事に知識を生かす方などいろいろ。皆さんさまざまですが、中年になってからの『学び』を栄養として、その先を切り開いています。中年の学びって、費用対効果を考えたらチャレンジできなくなりますから、冒険気分で立ち向かうのがおすすめです。
私も大学院でさらに栄養をつけ、豊かな60代、70代を目指して冒険し続けるつもりです。
フィッシュバーン真也子
養生空間研究家、ハーバルプラクティショナー。 空間とお茶で心身の養生を目指す『だんで茶屋』店主。
出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして長らく活動。 現在は、ハーブの専門家、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、『養生茶カフェ だんで茶屋』https://dandechaya.com/ を経営。その他、不動産賃貸業などを営む。
外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな過去を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住し、住まいや暮らしを自分流にカスタマイズをしながら、心身の養生を追求するライフスタイルを提案している。54歳で大学に再入学し、現在、建築と住空間を勉強中。
〈著書〉
* 食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)
* 住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)
〈住まいのコラム〉
https://ieny.jp/post/1275
構成・写真・文/フィッシュバーン真也子
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〈養生茶屋日記 vol.1 弥生〉自分なりの『養生』を見つけよう
〈養生茶屋日記 vol.2 卯月〉『良い気』を取り込んで、春の揺らぎを乗り切ろう
〈養生茶屋日記 vol.3 皐月〉軽井沢&北軽井沢で『呼吸養生』をしてきました
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