【連載コラム】フィッシュバーン流“養生生活”のすすめ〈養生茶屋日記vol.8神無月〉独活のススメ、“青春の味”で追憶の時を過ごす - even-if

【連載コラム】フィッシュバーン流“養生生活”のすすめ〈養生茶屋日記vol.8神無月〉独活のススメ、“青春の味”で追憶の時を過ごす

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秋も深まりつつある今日この頃、暑さも一段落し外出もしやすくなりました。大勢で過ごす時間も大切ですが、あえて一人で出かけるのもおすすめ。しかも、昔よく通った店や場所を訪れるという点がポイントです。今回の養生茶屋日記は、そんな“独活”についてお届けします。

こんにちは、フィッシュバーンです。

ここのところ、すっかり涼しくなり、毎日が散歩日和になりました。代々木公園の百日紅(さるすべり)も花が散って、道が花びらの絨毯に……。

秋は空が高く、気持ちいいですね。

秋のおひとり様行動で思い出に耽る

気候のいい秋は、なんとなく出かける回数が増えるもの。最近は「昔よく行ったなー」という思い出の場所を訪ねるお出かけにハマっています。それも、一人で……(笑)。

先日、ぽっかり予定のあいた午後に、ふらっと出かけて葉山まで行きました。

バブル全盛期の大学時代、その頃の彼氏と一緒に、大人ぶって『ラ・マーレ・ド・チャヤ』へお茶をしによく来たんですよね……。食事をするお金はなかったので、もっぱらケーキとお茶専門。

この白鳥のシュークリーム、よく食べました。昭和の王道ケーキ。

あの頃はいつも混んでいて、海の見える席に座れることはなかったけれど、平日だったせいか、今回は窓辺の席を独占。

「あの時の彼は今どーしてるのかなー?」など、ぼんやり考えながら、スワンシューをガブリ。「そういえば、ひどい喧嘩して別れたっけ」とか思い出したり(笑)。

思い出の場所への“独活”って、半分忘れかけていた記憶を甦らせることができて、なかなかに楽しい。これ、脳のトレーニングになるかも。

私はあの頃とすっかり変わっちゃったけれど、スワンシューも葉山の海も変わらずにいてくれて、なんだかうれしかったです。

若かりし頃のタフな胃袋を思い出す

昔行っていた多くの店がなくなってしまった中、今も健在のお店には、どうしても定期的に通ってしまいます。

私は若い頃からおやつ好きなので、『銀座WEST』のシュークリームやホットケーキが大好物。

青山店は、昔とは違う佇まいのお店になったけれど、ベーシックなシュークリームの味は変わらず。お気に入りのシュークリームは、最近はお土産で購入。

最近はすっかりホットケーキ派ですが、ここに来るとまたまた昔の思い出が蘇ります。

友人と二人でサンドイッチを各自食べ、その後シュークリームを頼み、結局足りずにもう一個頼んだこととか……。そういえば、あの頃、ホットケーキは食べた記憶がないな。

昔はたくさん食べられたのに、今では、このジャンボなホットケーキ一枚食べるのが精一杯。「代謝よかったんだよね、昔は……」としんみり。そして、ホットケーキを食べながら、代謝を上げる体操の動画をスマホで見たりして。

お店の佇まいを始め、スマホやら動画やら、いろいろ世の中変わったけれど、ずっと変わらないシュークリーム、最高。

最後にもう一つ。私は渋谷にある学校に通っていたのですが、高校生の時から、学校の帰りにこっそり食べに行っていたのがこれ。

部活帰りにどうしてもお腹が空き、先生や親に内緒で、『喜楽』のワンタンメンを食べて帰っていました。

今もときどき一人で食べに行きますが、このワンタンメンを食べると、きつかった部活の練習や、この店のまわりに立っていた怪しげな客引きのおじさんが怖かったことなどを思い出します。

でもね、最近はそういうおじさんも全然怖くない。どちらかといえば、その方々年下ですか?って感じで……(笑)。年を重ねるって、面白い。

独活で“青春の味”を楽しんでいると、情景や匂い、味とともに、閉ざされていた記憶の扉が開きます。

やっぱり、この独活って、きっと脳養生にいいはず。
次は、山手の『ドルフィン』や青山の『ヨックモック』あたりに行ってみよう。

フィッシュバーン真也子

養生空間研究家、ハーバルプラクティショナー。 空間とお茶で心身の養生を目指す『だんで茶屋』店主。

出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして長らく活動。 現在は、ハーブの専門家、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、『養生茶カフェ だんで茶屋』https://dandechaya.com/ を経営。その他、不動産賃貸業などを営む。

外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな過去を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住し、住まいや暮らしを自分流にカスタマイズをしながら、心身の養生を追求するライフスタイルを提案している。54歳で大学に再入学し、現在、建築と住空間を勉強中。

〈著書〉
* 食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)
* 住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)

〈住まいのコラム〉
https://ieny.jp/post/1275

構成・写真・文/フィッシュバーン真也子

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