【連載コラム】フィッシュバーン流“養生生活”のすすめ〈養生茶屋日記vol.9霜月〉「黙って寄り添う」動物たちは最高の心養生
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肌寒くなってくるとぬくもりが恋しくなりますが、そんな時、動物たちが与えてくれる温かさは、その存在のかわいらしさも相まってやはり格別。言葉は話せないものの、そこにいてくれるだけでホッとするという気持ちを覚えた人も多いのでは。今回は、フィッシュバーン真也子さんの“家族”遍歴を通じて心の養生についてお届けします。
こんにちは、フィッシュバーンです。
一気に寒くなり、温かいお茶がおいしい季節になりました。我が『だんで茶屋』でも、温かい養生茶をオーダーするお客様が増えました。
これからの季節、からだを温めることが風邪予防にもつながるので、ぜひお茶はホットで……。
人生後半戦、人生の伴走者として猫を選択
かれこれ40年以上何かしらの動物と共に生きてきました。過去には、猫、犬、ハムスター、リクガメ、鳥、金魚、ひよこなど。でも、残念ながら皆さん私よりも先にお亡くなりに……。
数年前、18年間病気ひとつせず老衰で命を全うした猫が亡くなって以来、動物のいない暮らしがしばらく続きました。この猫は、親や息子、元夫などよりも長く時を過ごしてきたこともあり、その想いは格別。
動物たちが亡くなる度に、悲しみと喪失感で凹みます。
が、自分の人生に動物がそばにいない暮らしはあり得ないという想いは常に明確で、この猫亡き後、半年ほど喪に服し、再び新たなお仲間探しを始めました。候補はありきたりですが、犬か猫。
ただ、選択にあたっては、50代半ばという自分の年齢、自分の未確定な寿命、動物の平均寿命、今の暮らし方、住まいの形状などを考慮する必要がありました。
最終的に、昔より穏やかになった今の暮らしには猫の習性が合っていると考え、猫を選択。
数カ月後、縁あって、猫を飼えなくなってしまった個人の方から1歳の猫を譲り受けることになりました。
『だんで茶屋』の看板猫として頑張っている“祭ちゃん”は、1歳で我が家に来て、ただいま3歳。もふもふ系メインクーンの雑種ですが、お客様と合席したり、遊んだりして、接客に一役買っています。
まだ共に暮らして2年ですが、これから末長くご一緒し、お互い寄り添い年を取っていこうと思っています。
黙って寄り添うって、なかなか難しい
自分の暮らしを振り返ってみると、さまざまなシーンで動物たちの存在が心の養生に役立ってくれた気がします。
実際、動物に触れ合うことでストレスの緩和や精神的な落ち着きを目的にしたアニマルセラピーという療法も存在。脳内伝達物質ドーパミンやオキシトシンの分泌が増え、楽しいという感情が生まれたり、副交感神経が優位になることでリラックス状態になったりします。
動物に寄り添ってもらうことが、心の養生や安定につながるんですね。
私の息子も、先代猫の“ぐーちゃん”に寄り添われて育ちました。
シングルマザーの私は、息子にとって母であり、時に父。息子に厳しくする時も多々ありましたが、そんな時、息子はこの猫を抱えて部屋におこもり(笑)。その時、息子が悔しかったのか、悲しかったのか、憤っていたのか、猫のみぞ知る……。
言葉を発する人間にとって「黙って寄り添う」ことは、簡単そうでなかなかできないもの。考えてみれば、誰かに黙って寄り添うどころか、誰かに喋ってばかりの自分……。動物たちを見習って、修行せねば。
フィッシュバーン真也子
養生空間研究家、ハーバルプラクティショナー。 空間とお茶で心身の養生を目指す『だんで茶屋』店主。
出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして長らく活動。 現在は、ハーブの専門家、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、『養生茶カフェ だんで茶屋』https://dandechaya.com/ を経営。その他、不動産賃貸業などを営む。
外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな過去を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住し、住まいや暮らしを自分流にカスタマイズをしながら、心身の養生を追求するライフスタイルを提案している。54歳で大学に再入学し、現在、建築と住空間を勉強中。
〈著書〉
* 食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)
* 住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)
〈住まいのコラム〉
https://ieny.jp/post/1275
構成・写真・文/フィッシュバーン真也子
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